「初心者向け」釣り竿について知っておきたい8の基本
「釣り竿とは腕の延長であり、魚は腕で釣るものである」
有名な釣りキチ三平という漫画の主人公三平三平(みひら・さんぺい)の竿作りの名人であるじーちゃんの言葉です。
この漫画で語られる釣り竿の本質(名言)は釣りの魅力をよく表している素晴らしい表現であると思います。
この「釣り竿とは腕の延長である」という表現を覚えておいてください。
初心者こそ知っておきたい奥深い釣り竿の本質について8の説明から解き明かしてみようと思います。
また、この内容から自分のベストな竿とは何なのかを考えてみるきっかけにしていただければ幸いです。
釣り竿の基本的役割
- 仕掛けの投入(飛ばす)
- 仕掛けの回収
- 長さを利用し仕掛けの道糸(リールに巻いてあるメインの糸)をコントロールする
- 魚を掛ける「アワセ」をする
- 針掛りした魚とやり取りをする(竿の反発力で魚を徐々に浮かしてくる)
- 所有欲が満たされる
釣り竿には基本的な役割があります。
ただ、単純に針にかけた魚を持ちあげてくるのであれば、最も力強くあげてこれるのは手の力だけで巻き取ってくることです。
これは青森県の大間のマグロ漁師の映像をみていただければ一目瞭然ですが、竿を介さずとも手が最も力強く・ダイレクトに・効率よく魚を引き揚げてくる方法だということを端的に表しています。
実際に糸を持ち、針にかけた魚を引っ張ってくると竿で引っ張りあいっこするより遥かに簡単に巻き上げてこれます。
それに、釣りでは根がかりという現象が発生します。
海底の岩や海藻・水草などに仕掛けもしくは針が引っかかってしまう現象のことです。
この時、多くの釣り人が無意識に竿を一直線にして引っ張ってみたり、糸を手に持って引っ張り、根がかりを外そうとします。
つまり、結局魚を引っ張るのは糸をダイレクトに引っ張った方が力強く巻き上げられるのです。
では、なぜ釣り竿が必要なのでしょうか。
それは上記記載の通り、竿にはまるで腕の延長のように、仕掛けを投入し、仕掛けを操作し、仕掛けを回収または魚を掛けてやり取りをするという役割があるためです。
船釣りのように広大な海に出て、ポイントの上から仕掛けを落とすことができれば手で糸を手繰り寄せることが最も効率的かもしれませんが、一般的な海釣りの場合、目の前の海に仕掛けを投入する時点から釣り竿の長さと竿のしなりを利用しなければ仕掛けを思ったポイントに入れられないのです。
また、釣り竿の長さを利用することで仕掛けを投入した後の道糸(リールに巻かれているメインの糸)を左右に振ったり、竿を上下し糸を緩めたり張ったりする調整は釣り竿の長さがあってこそ、やりやすいのです。
糸を左右にふったり、糸の張り具合を調整することは基本的に魚から明確なアタリ(エサに食いついたり反応したりすること)を引き出すのにとても重要なことです。
釣りに慣れてきた時や魚が掛かった時、糸の張り具合がどんな感じだったのかよく覚えておくことが次に繋がります。
最後に少し違う角度からの役割ですが、「所有欲が満たされる」というものがあります。
もちろん、とりあえず釣りをはじめてみたい方は、万能竿や堤防竿と言われる汎用性の高い竿で問題ありません。
しかし、釣りを本格的にはじめてみたいと考えている人はどんな釣り竿を使って釣りをするのか真剣に考える時期が必ずきます。
これは僕の経験上ですが、中途半端で妥協した釣り竿を購入すると、結局時間が立つとすぐに飽きてしまい、別の竿が欲しくなってしまいます。
それであれば、最初から「自分が満足できる」「所有欲を満たしてくれる」釣り竿を選んだ方が長い目でみて、お得ですし、良い釣り竿を所有しているという満足感に長い間浸れます。
僕なんて、釣り竿をぼっーと眺めているだけで幸せになれる釣りバカですので、自分が満足できるモデルを買うようにしています。笑
ただ、決して一番高いモデルを購入してください、と言っているのではありません。
あくまで自分が満足できるアイテム・釣り竿を購入するという点がポイントです。
釣り竿は片手で扱える長さがベスト
釣り竿は腕の延長ということを考えれば、竿の長さを考える上で重要な点は「片手で扱えるか」どうかという一点に集約されます。
片手で扱えるというのは、釣りをしている時間、自由に釣り竿を片手で操作し続けられるかどうかということです。
もちろん、万能竿や堤防竿の場合、竿置き(釣り竿を置くアイテム)に竿を置いたり、両手で竿を持ったりすることがあるため、「常に片手で釣りをしてください」という話ではなく、竿を選ぶ際のポイントの話です。
そのため、本人の体力的な部分にも絡んでくるのですが、釣り竿の長さを選ぶ際は実際に釣具店で実際に竿を出してみて、軽く振ってみることがとても重要なことです。
実際にはリールを付けてバランスを考慮するのですが、そもそも竿単体で、振ってみて「持ち重り」といって、竿が重くて垂れ下がってしまう、何となく腕が疲れそうという感覚がある場合、竿の種類を変えるか、長さを短くするなど、選び直しが必要です。
僕の結論として、片手で扱える長さでできる限り長い竿の方が良いです。
ただし、釣り場で安全な場所ほど、長い竿が有利になるというのが現実問題あります。
例えば、柵付きの海釣り施設や防波堤では、柵の先に竿を伸ばして使う必要があるため、長い竿でないと魚を取り込みにくい、仕掛けを入れ込みにくいということがあります。
そういうケースもあるので、よく行く釣り場ができたら、釣り竿を見直すということも必要になるケースがあります。
お子様が堤防竿や万能竿を購入する場合、実際に釣具店で持たせてみて、片手で竿が動かせるかどうかが大事です。
せっかく最初の釣りで楽しさを味わう時に「しんどい」という記憶を持ってしまうのはもったいないですから、保護者の方こそ、この竿選びは留意したいものです。
短い竿と長い竿
長い竿のメリットは魚とのやり取りを竿の動きだけでいなすことが出来、慣れれば仕掛けも楽に投入することが出来ます。
また、長い竿はウキフカセ釣りの場合、手前にある根や消波ブロックなどの障害物をかわしやすいという大きなメリットがあります。
ウキフカセ釣りには5メートル前後の竿が多いのはそうした理由があるのです。
さらにちょい投げなどの釣りの場合、長い竿の方がより遠くに飛ばすことができる点はかなりのアドバンテージです。
先ほども説明の通り、柵が付いている安全な釣り場ほど、柵があり、海中まで距離が出る分長い竿が圧倒的に有利になることもあります。
ですので、どの釣り場でも対応できるという意味で、片手で扱える範囲で長い竿を選ぶことが重要なのです。
短い竿には取り回しが良いことや竿の総重量が軽くなり、疲れにくいというメリットがあります。
また、短い竿の真骨頂は仕掛けの操作がよりデリケートにできるという点にあります。
短い竿は操作上、メリットがないように思えますが、仕掛けから道糸までの糸の張り具合や仕掛けの動作をより精密に行いやすいという面白さがあります。
堤防釣りでクロダイ(チヌ)などの大物を狙う際に、あえて精巧で精密な釣りをするためにより短い竿で攻めの釣りをするという考え方も出来ます。
ブラクリ仕掛けなどの落とし込みなどの足元に落とす釣りに関しては、とても短い竿でも釣りが成立しますし、細かい海の変化や魚のアタリをとり、仕掛けをデリケートに操作することを考えれば短い竿が正解の釣りもあるのです。
本当は釣り竿の長さの話は他にも感度や釣り竿の種類などの複合的な要因が絡むとかなり複雑な話になってくるので、シンプルに長い・短いにおける絶対的なメリットデメリットについて説明してみました。
実際に釣り竿で最も多くする行動は「仕掛けの投入と回収」
釣り竿を腕の延長として、釣りをする時間片手で操作することも多いのですが、釣りをする上で最も多い動作が仕掛けの投入(投げる)と回収です。
魚が釣れない時はこの動作をひたすら繰り返します。
この動作を行う時は右手で竿を持っているとすれば、左手でリールのハンドルを巻いているため、片手で行っているのです。
つまり、この最も釣りの中で投入と回収という動作の際が片手で竿を扱っている時間となり、それが釣りの中で最も多い動作だとすれば、片手で操作がしやすい竿を選ぶのは、とても合理的な話なのです。
そして、次に多い時間が仕掛けを流したり、仕掛けを沈ませてアタリを待つ時間です。
この時間はちょい投げ釣りなどは竿置きにおいたりする場合もあるので、片手での動作は少ないのですが、これがウキフカセ釣りやサビキ釣りになれば話は変わります。
ウキフカセ釣りの場合、ウキを仕掛けの道糸(リールに巻かれているメインの糸)の操作で流していく必要があるため、必ず片手で竿を持ちます。
サビキ釣りの場合でも竿をしゃくり、コマセを海中に撒く動作が必要なため、片手に近い形で竿を持つことが多いのです。
落とし込みやミャク釣り(探り釣り)と言われる仕掛けの重さで海底付近まで沈めていく釣りも基本的には片手で竿を扱います。
つまり、エサ釣りの種類によりますが、どんな釣りでも竿はやはり片手で扱う時に疲れない長さやバランスを考えることが最も重要と言えます。
この手の片手で扱う部分の話はほとんどの釣具屋さんや初心者用の入門書にも記載されていませんが、僕が考える最も重要な竿選びの部分だと考えています。
特に初心者の方はただでさえ、慣れない釣りをしているのに、片手で竿が重くてしんどい思いをして、ヘトヘトになって釣りが嫌いになるというのが一番嫌なので、この点だけはしっかり押さえて欲しいと思っています。
リール+ガイド付きの釣り竿が標準セット
こちらの記事では大きく分けて竿は「のべ竿」と「リール竿」の2種類を紹介しています。
基本的に海釣りの場合、足元付近の魚を狙う釣り以外は「リール竿」がマストアイテムになります。
リールとは道糸と呼ばれるメインの糸を巻いておくための道具で、糸を放出したり、回収したりする動作を行います。
外付けのリング(ガイド)のようなものが付いている竿とリールを組み合わせることで、リール竿の完成です。
そのため、少し仕掛けを海の沖側に投入(投げ入れる)のに役に立つ道具です。
また、リールにはドラグという機能があり、魚が掛かり、竿を大きく曲げた時に糸を切られないように、ある一定の負荷がかかると糸を出してくれます。
ドラグとは基本的にどの負荷で糸を出すかは設定することが出来、とても便利な機能で、大物を釣り上げるためには必須の機能と言えます。
最後にウキフカセ釣りに使用される30年以上も歴史のあるレバーブレーキリールという種類のリールもあります。
このレバーブレーキという機能は道糸を自分の意思で出したり止めたりすることができる便利な機能です。
仕掛けを手元の寄せる時、魚が掛かり水中の根に突っ込む時に道糸を意図的に放出することでテンションを強制的に抜き、魚の突っ込みをいなしたりすることが出来ます。
基本的にエサ釣り用の竿には「シマノ」製品のリールだと2500番、C3000番、3000番を選べば竿とのバランスは取れるように作られています。
「ダイワ」製品のリールだと2500番がメインで、重めの竿や大物用に3000番がおすすめです。
竿の号数と錘負荷(オモリふか)の表記について
一般的に釣具店では海釣りの万能竿と呼ばれる釣り竿が存在し、ウキ釣り、サビキ釣り、ちょい投げ釣りと言った釣りは基本的になんでもできます的な竿が売られています。
先ほどの通り、竿は自分の腕の延長として捉えるならば、釣具店で売られている万能竿や堤防竿は3m〜5mくらいの竿の中で片手で振れる長さを選ぶことがベストです。
小さなお子様や腕力に自信のない女性なんかは、間違いなく短い竿を選ぶ方が良いです。
また、万能竿や堤防竿には竿の硬さも種類も多くなく、大体が1.5号から3号くらいと表記されているものが多いように感じます。
自分が行く釣り場にもよりますが、重い仕掛けを使ってチョイ投げなどの釣りをメインの方はちょっと硬めの3号、ウキ釣りや足下のサビキ釣りがメインの方は柔らかめの1.5号くらいがちょうど良いと思います。
ちなみに僕は堤防用の万能竿は2号を使っています。
これで何でもやります。
また、ウキフカセ釣りをメインで考えられている方は下記のような考え方が必要です。
竿に「チヌ用」と魚種別に記載されているアイテムもありますが、基本的に磯竿であれば、号数がかかれています。
0号〜1号は海タナゴやクロダイ(チヌ)に適していて、1号〜1.5号は主にメジナ(グレ)に使用することが多く、それ以上に太い2号や3号、4号という硬さは青物などの大物がヒットする可能性がある場所で使用することが多いです。
このように魚種に応じて、号数別に購入できるのが磯竿の特徴です。
ですが、これが投げ釣りや専用竿となるとそれぞれに適した長さや硬さがあるため、釣具屋さんで実際にしっくりくる号数や長さをしっかりと触ってみることが大事です。
心配であれば釣具店員さんに声がけして、実際に竿を縦に振ってみると良いです。
竿を振ることで、片手で扱えそうかどうかがわかるからです。
それを1日続けられそうかどうかで判断してもらえれば、間違いない竿選びができます。
また、錘負荷(おもりふか)と記載されている竿のパッケージをみるとおおよそのどのような仕掛けが扱えるかの目安がわかります。
例えば、1号〜3号と記載がある(竿の号数とは違います)場合、オモリである1号は約3.75グラムで、3号のオモリは約11.25グラムのため、この範囲の重さの仕掛けが扱えますという意味となります。
この場合、ウキフカセの仕掛けを考えた時、ウキ自体の重さが12グラムくらいを超えてしまうと扱えないことはないですが竿にとっては少し負荷が強くかかってしまう状態となります。
ウキフカセ釣りの場合、大体ウキが7グラムくらいから遠投用で12グラム前後くらいまでかと思いますので、錘負荷1号〜3号と記載があれば、問題なく扱えることになります。
さらに竿や仕掛けのバランスを考慮して、「適合ハリス」と記載がある竿もあります。
適合ハリスとは、この範囲のハリスを使うのに適していますという範囲を表しているため、適合ハリスの号数を守ると、竿が折れる、ハリスが切れるなどのトラブルが起きにくくなります。
よくしなる竿ほど魚は暴れない
竿には「調子」という概念が存在します。
簡単に言えば、竿に負荷がかかった時にどの支点から曲がっていくかを表現するのに使います。
主に「本調子」「先調子」「胴調子」という言い方をすることがエサ釣りでは多いです。
ルアー竿ではレギュラーテーパー、ファーストテーパー、スローテーパーと表現されますが、日本語をカタカナ表記に変えただけです。
竿を10等分して、「6:4調子」「7:3調子」「8:2調子」と曲がる視点がどこにくるのかを表現することもあります。
6:4調子は最も基本的な曲がりをして、8:2調子は釣り竿の先(先端の細い側)側から曲がる竿という具合です。
また、竿の硬さをある程度ざっくり示す表現として、軟調子と硬調子というものがあります。
軟調子とは、やわらかくしなやかな竿で、硬調子とは硬くて張りのある竿を言います。
僕は長年釣りをしていて、気がついたことがあるのですが、軟調子で6:4調子くらいの竿の胴から曲がる竿で魚を釣り上げると魚が暴れにくいという実体験があります。
ルアーでのスローテーパーと表現されるやわらかめのロッド(竿)を釣ると魚が暴れにくいのです。
竿がしなる分、魚が嫌嫌せずに、素直に上がってくるようなイメージです。
反対に硬い竿で先調子の竿の場合、魚の引きが急に強くなったり、抵抗が激しい傾向にあります。
ただ、長くてただやわらない竿を使うと、大きな魚がかかった時に魚に振り回されるリスクもあるため、やはり大物を狙う時や大物が釣れる可能性が高い場所はそれなりの硬さを選ばないと大事な大物を取り逃すことに繋がります。
大事なことはやはり、ある程度対象魚に合わせた適正な竿を用いることです。
竿のメーカーのホームページには対象魚が書かれていますので、ある程度は竿購入前に参考にすると良いと思います。
ちなみに僕はウキフカセ釣りでは、最もなんでも使う竿として、1.2号の硬さで胴調子の竿を使うことが多いです。
竿の真の性能を理解するには使い込まないとわからない
僕は釣具の中で最も性能を理解するのが難しい道具は釣り竿だと思っています。
よく釣り竿のレビューを読みますが、書いている人には大変申し訳ないのですが、とても浅い内容ばかりです。
僕の釣り仲間は同じ竿を10年以上使い込んで理解したことや竿の性能について深い話をするメンバーが多いので、釣り竿というのはそれほど奥が深いアイテムなんだとしみじみ感じています。
釣り竿は使い込んで、魚を釣り込んで初めてその良さを理解できるアイテムだと思っています。
さらに、釣り竿は同じ物を使い込むことで、「自分にしかわからない感度」が生まれてきます。
毎回同じ釣り竿で使い込んでいると、「前回と何か違うぞ」という感じに微妙な変化に気づくきっかけになるのです。
ですので、僕は気に入った釣り竿を見つけたら、ぜひ使い込んで欲しいと考えているタイプです。
メーカーさんは釣り竿を売らないといけませんから、どんどん新しい道具を発売してきますが、古い釣り竿でも全く問題ありません。
むしろ、古い釣り竿の方が最新の感度ビンビンの釣り竿より釣果(ちょうか:釣りの結果)が良かったりするので、釣りというのは奥が深いです。
とは言え、竿との出会いも一期一会という捉え方も出来ますので、実際に触ってみて、難しく考えずに、ピンときた竿を最初の相棒に選ぶのもアリだと思います。
僕は釣具においても、釣りにおいても自分自身の感覚や直感を信じるタイプの釣人ですので、自分がビビッときたことや直感がおりてきた時はそちらを優先します。
その直感を信じてやり込んだ時にはじめて、物事や釣り場で生じている真実の現象を捉えることにつながっていく気がします。
ちょっと最後の話は言葉で伝えるのは難しい内容でした。笑
でも、最後までご覧いただきありがとうございます。