撒き餌=コマセワークにて潮を読むコツ「ウキフカセの基礎知識」

メジナ(グレ)、クロダイ(チヌ)問わず、常に状況確認をすることが釣りを楽しむコツです。
今回は撒き餌に焦点を絞り、潮を読む基本的なコツをまとめてみました。
潮を読むための事前準備と情報

大きな海流と目の前の潮流
風向きと大きな潮の流れ(潮流)を確認しておくと、いざ釣座に立った時の大まかな状況が理解しやすいです。
大きな潮(大きな海流)とは、釣座の目の前で起きる潮の流れやぶつかりなど、細かい動きではなく、岸側から少し沖側を流れる大きな潮の流れのことです。
主に岸と並行に流れていることが多く、釣座側から見れば、左に流れているか右に流れているかのパターンが多いと思います。
この大きな流れは干満さにより時間帯や地域特有の流れとして一定の法則があるように見受けられるのが殆どです。
さらに大きな海流は「親潮」「黒潮」に代表される海流のことで、小規模な流れではない、海の大きな循環の一つです。
ウキフカセ釣りの場合、岸側から感じられる範囲の目の前で生じている潮の流れの変化を読み取る必要があります。
これが目の前の潮流を読むということであり、ミクロ的視点です。
今回は岸側から感じられる潮の流れを撒き餌(コマセ)を用いて、判断する方法をご紹介します。
岸側で生じている潮はいつもこんな感じで流れが発生するという一定の全体像があっても、実は細かく見ると、目の前で生じている潮の流れには法則性がなく、その瞬間瞬間で潮は変化していくことに気がつきます。
これは、海底から表層にかけて縦横・上下に分けた時により複雑さを増し、常に一定の潮が毎日流れるということは基本的にはないです。
細かい視点で見れば、法則性がなく、生き物のように違っていく、変化していくのが潮を読むために知っておくべき前提情報です。
また、防波堤であれば、カケ上がり(地形変化するところ)、ケーソン(防波堤の基礎)、消波ブロック、船道など、わかりやすい地形変化があり、その地形から潮の変化の目星を付けることが出来ますが、難しいのが地磯や磯です。
中級者の方でも全てがポイントになり得るように見えるので、最初は検討もつかない可能性が高く、永遠のテーマとも言えます。
磯のポイントを探し出すためにも、目の前の潮の動きによってわかることが結構ありますので、「潮を読む」というシンプルな行為はとても重要です。
毎度毎度、違う潮をどう読むのかはとても難しいテーマですが、潮の変化が分かれば、どう攻略すべきかがみえてきます。

魚が釣れるタイミングの動き

潮には干満さがあり、周期的に訪れる潮の満ち引きによる潮流の変化します。
その変化を釣り人的には「潮周り」と表現します。
「中潮」「小潮」「長潮」「若潮」「大潮」という流れですが、この潮周りによって、海は色々な表情を見せます。
メジナ(グレ)には流れの早いタイミングが適していると言われますが、潮が最も動く、大潮が動きが活発になるとは限りません。
地形や潮流次第では、小潮や中潮が最も動きが活発になるエリアもあり、一概に潮周りだけで潮流を予測することは困難です。
ですので、現場ありきというか、現地で目の前で生じていることだけが真実です。
もちろん、「上げ7分、下げ3分」という潮が最も早く流れるタイミングで釣果が上がりやすい、魚の活性が高くなりやすいという傾向はあります。
しかし、「潮を読むこと」とは、目の前で生じている現象をしつかり観察することから始まります。
そのために撒き餌=コマセワークで潮の変化を理解していこうということです。
撒き餌はリズムよく撒くことが大事な理由
撒き餌はバンドで例えるなら、ドラムのようにリズミカルに打ち続けることが、状況を正確に理解するために重要なことだと思っています。
撒き餌を投入して、流れや状況がわかりやすい場所に投入して、観察しては、また別の場所に投げてみることで、釣れそうな潮の筋や方向や速度などを予測することに繋がってきます。
こうした予測をするために、撒き餌を一定感覚でリズミカルに投入することで色々なことが見えてきます。(ずっと投入し続けるという意味ではありませんよ)
例えば、仕掛けを振り込んで手前に一発、ウキ付近に三発、ウキからずらして二発みたいな感じでリズム良く打ち込んでいくイメージです。
リズミカルに撒き餌を投入することで、目の前で生じている変化が見えてきます。
さらに付けくわえるなら、一定に撒き餌を巻き続けることで、餌取り(小魚系)をある一定の場所に釘付けにして、本命のポイント周辺に沸かせないためにも、撒き餌を一定感覚で餌取り側にも投入することが大事です。
この場合、餌取りは手前によせ、少し沖に本命ポイントの目星をつけている時の話です。
どうしても、竿の操作や別のことを気を取られていると、撒き餌の投入にリズムが出にくいことがありますが、「撒き餌はリズム」という言葉を思い出し、根気よく投入し続けて欲しいと思います。
僕も練習中の身ではありますが、リズミカルに打ち続けることで、体が勝手に撒き餌を投入しているような状態になりました。
そのため、撒き餌の消費量は最初の頃より間違いなく増えていると思います。
はじめての頃は撒き餌を投げる時は、投げる時だけに集中して、道糸の操作をして、ウキを見つめて、と一連の動きがぎこちなかったのが、道糸の操作をしながら、海を観察しながら、撒き餌を投入し続けられるようになりました。
まるでスポーツの反復練習みたいですが、上手な磯釣り師の動作をみていると、常に一定のリズムで撒き餌を投入し続けています。
撒き餌が沈んでいく時の形をみておく
撒き餌が表層からゆっくり沈んでいくときに、撒き餌が沈んでいく形のまま横にスライドしていったとすれば、それは流れがあるということです。
全く潮が流れていない時は撒き餌はまっすぐ下に落ちていきます。
この撒き餌の形を観察していると、シンプルに流れている方向がわかるのですが、この時に撒き餌の煙幕の形が歪んだり、つの字を描くようになった場合、それは表層の潮と中層の潮の流れの速さが違うという意味です。
これは一つのケースですが、この撒き餌の落ちていく形をみておくことで、ある程度潮の流れや速度が推測できることがあります。
防波堤で、横に潮の流れがあるだけの時は、この形をみるだけでその時の状況をとても理解しやすいです。
撒き餌を投入してから見えなくなるまでの時間が大事
撒き餌を投入して、撒き餌が見えなくなるまでの時間を自分で測っておくことが大事です。
最初のうちは、慣れないかもしれませんが、オモリが沈んだ時間を数えて、おおよその水深を割り出すように、撒き餌が見えなくなるまでの時間を数えるのはとても意味があることです。
数えるといっても時計のように正確に数える必要はありません。
あくまで、自分の中のリズムで数えることが大事です。
例えば、撒き餌を投入して30秒で撒き餌が見えなくなったとします。
その後、同じところに撒き餌を投入したら、20秒で撒き餌が見えなくなったとします。
この場合、流れが早くなり、撒き餌が早く流されているため、潮が早くなったとわかります。
これとは反対に、撒き餌が見えなくなるまでに20秒かかっていたのが、次回投入時は30秒かかったとしたら、潮が緩くたるみ始めているということです。
単純ですが、この潮の変化を捉えることで、時合(じあい)を逃さないで、魚を釣ることができる可能性がグッと高まります。
潮目に魚が集まる理由
潮目とは潮の流れがぶつかり、集まる、潮が互い違いにすれ違うなど、水温や塩分濃度など性質の違う潮の境目のことです。
具体的に、気泡がたまっていたり、白くなるように波立っているライン上になっていることが多いです。
この地点に仕掛けを流していくことができれば、魚をキャッチする確率はとても高くなります。
岸から届く距離にあれば、ぜひ狙ってみたいポイントになります。
この潮目には法則性がほとんどありません。
毎日吹く風や潮流の複雑な動き、そして、地形によって引き起こされる現象であり、傾向的に起きやすいポイントはあっても、予測不可能な現象の一つと考えています。
いつも同じポイントに通っていれば、潮目がある時と全くない時に分かれるのと一緒で、潮目とは現地で発生するものです。
まず、ウキフカセ釣りでは潮裏が圧倒的にポイントになりやすいです。
潮表とは、潮が流れてくる側で、潮裏とは、流れていく側のことを言います。
単純に川に例えると、自分が立っている場所の上流側が潮表にあたり、下流側が潮裏と表現するとわかりやすいでしょうか。
そのため、釣座や立ち位置によって、呼び方も少し変化します。
この潮裏に流れる潮流は、沖から流れてくる潮は、地形変化などの岩礁や防波堤の消波ブロックなどに当たり、スピードを上げて、別の方向に流れ出します。
この結果、別の潮と当たり、ライン上に潮がぶつかり、潮目になるというパターンが殆どです。
この際に、魚視点でみれば、自動で潮によって餌が流れて停滞する潮目というのは格好の餌場になります。
そのため、潮が集まるところに魚は集まるのです。
ウキフカセでターゲットにしている魚のみならず、フィッシュイーターと呼ばれる青物や底物と呼ばれる活性の高いロックフィッシュなんかも集まってきます。
それぞれ、遊泳層が違うため、その瞬間だけは棲み分けが出来ていますが、魚が集まるチャンス的なポイントであることは間違いありません。
特に潮目は潮と潮がぶつかる場所ですので、撒き餌は集まりやすく、撒き餌の密度もかなり高まります。
そうすると、魚の活性も高くなり、色々な魚が集まってきて、一大ポイントになるのです。
一大ポイントになる場合、大型がポイントに関与してきます。
色々な魚が撒き餌を捕食し出すため、大型の魚も警戒心を解き、浮いてきたり、撒き餌や刺し餌に口を使うような状況になったりすれば最高です。
ウキフカセ釣りでは仕掛けを流していくと、潮目に入ると吸い込まれるように潮の中に入っていきます。
これは潮目の潮が中に引き込まれていき、中層まで餌が潜り込むことがを意味しますので、撒き餌を潮目の中に潜り込ませるように投入することが大事です。
先ほど紹介した撒き餌が見えなくなるまでの数を数える方法で、見えやすい撒き餌を観察していると「ここが潮目になっている」と気がつきます。
潮を読む(見る)優先順位
現地では、撒き餌の流され方で潮の方向や潮目、スピードなどを見極める方法を紹介している記事ですが、潮を読むためには現地での優先順位があります。
まず、サラシなどの白い泡がどちらに流れていくのかをみるのが一番わかりやすい潮の動きです。
撒き餌を撒くまでもなく、白い泡が流れを教えてくれています。
その後、撒き餌を潮表と思われるところに投入してみて、その動きや見えなくなるまでの時間を観察します。
うまくいけば、その先に潮目が発生して、撒き餌が潮目に溜まっていくことにつながります。

海の表面にゴミが流れてくることがありますが、この場合余程特殊な状況でない限り、潮が流れておらず、のらりくらりとゴミが溜まっていく時間があります。
しばらくすると、勝手にゴミがなくなったりするのですが、ゴミがある状況はあまり良い状況ではありませんので、沖目を狙ったり、深い棚を探ってみたりと目先を変えた方が良いかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございます。




